2017-10

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荒川洋一97 桔梗

荒川洋一97 桔梗

 やわらかい陽ざしの中を散歩していると、何処からともなく金木犀の香りがただよってきた。立ち止まって、辺りを見渡してみると公園の片隅に大きな金木犀の木が何本か植えてあり、陽の光が差し込み黄金色(こがねいろ)の花を沢山咲かせている。近付くと甘い香りが濃さを増し深まり行く秋を感じた。

荒川洋一98-2

 今日、紹介するこけしは荒川洋一さんの酒井正進型で大きさは7寸5分である。細めの胴の上下に赤と緑の染料でロクロ模様が引かれ、大きな桔梗の花が2輪描かれている。頭は黒と赤の蛇の目に前髪を描き、横鬢は3筆で少し乱れている。顔はやや湾曲した細い目に写実的な鼻と紅い口、淡いピンクの頬紅を塗っている。
 中ノ沢系の中で、善吉さんや芳蔵さんにはない独特の雰囲気を持っていた酒井正進のこけし、その面白さを荒川さんは荒川さんの流儀で解釈し写している。

荒川洋一98-1

 以前にも私のブログ「荒川洋一77 正進型」で同手のこけしを紹介している。その正進型は荒川さん宅で直接譲って頂いたもので、奥様が私のために1本だけ取り置きして下さっていたものだ。今回の正進型はその後ヤフオクで購入したものである。

荒川洋一98

 この桔梗の花を描いた正進型のこけしを荒川さんは単に「桔梗」と呼んでいた。昨年、工房を訪ねた時に正進型のこけしについて、原のことや何時頃から作り始めたのかなど尋ねようと思っていたが忘れてしまった。次回、工房を訪ねたときは正進型について必ず聞いておきたいと思っている。

こけしの話346

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荒川洋一96 須賀川型

荒川洋一96 須賀川型

 先日、北八ヶ岳を歩いてきた。白駒池の駐車場に車を止め、白駒池から高見石までの軽いトレッキングだった。標高2100mから2300mの整備された道を妻と二人でのんびりと歩いた。緑の苔や茸、色とりどりの花、蜜を吸う小さな虫達、夏から秋に移ろうとする季節のなかで輝いて見えた。

荒川洋一96-3

 今日のこけしは荒川洋一さんの須賀川型で大きさは8寸2分である。以前、私のブログで紹介(荒川洋一83の平成27年作のエジコや荒川洋一29の平成25年作)した2種類の須賀川型と比較すると、牡丹や渦巻きを描く筆の運びに勢いがあり、顔の描彩も若さと張りを感じる。

荒川洋一96-1

 荒川さんの年譜によると昭和51年の項に「鹿間時夫先生に勧められ、氏家亥一、後継者のない須賀川松木朝臣復元」となっており、最初の復元から四十数年の歳月が流れている。

荒川洋一96

 平成25年に荒川さんの工房を訪ねて、2種類の松木朝臣型のこけしを譲って頂いたときに、胴に描いた「渦巻き」模様を指して、最近、一筆で渦巻きを描けなくなり筆力の衰えを感じていると語っていたことを思い出した。

荒川洋一96-2

 先日、電話で荒川さんとお話しする機会があった。私は紅葉の時期に工房を訪ねたいと思っていたので「稲の収穫が一段落した時期に伺いたいので、いつ頃が良いですか。」と尋ねると、「今年は田圃をやめて大豆など畑の作物に転作したのでいつでも大丈夫。」との答えが返ってきた。
 荒川さんは数年前から、田圃は体力的に辛くなってきたので、稲作は止めたいという話を聞いていた。昭和29年より曾祖父が住んでいた土地に鍬を入れ開拓を始めて、軌道に乗るまで苦労を重ねてきたなかで、いざ転作を決断するまでには計り知れない寂しさや想い出が込み上げてきたのではと想像する。

こけしの話345

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荒川洋一95 芳蔵型 一重牡丹

荒川洋一95 芳蔵型 一重牡丹

 今日、8月11日は「山の日」である。私は一足早く(8月9日から10日)南アルプスの北岳に登ってきた。昨年も同時期に北岳に挑戦したが、頂上を目前にして体力の低下と時間切れとなり引き返し悔しい思いをしたので、今回3,193mの頂に立つことができ本当に良かったと思っている。

荒川洋一95-3

 台風5号が去った後で快晴になることを期待をして出かけたが、頂上付近は流れ湧くような雲に拒まれ360度のパノラマは望めなかった。それでも、短い夏に一斉に咲く様々な高山植物を見ることができ、短い時間ではあるが雲海に浮かぶ朝焼けの富士との対面を果たし、ライチョウの親子の砂浴びに遭遇するなど、未知との出会を楽しむことができた。

荒川洋一95-4

 今日、紹介するこけしは荒川洋一さんの芳蔵型で大きさは7寸3分である。制作時期は平成13年2月ごろと思われ、保存状態が悪く少し褪色が進み顔にはシミが出ており惜しい気がする。形態は直胴に丸い頭は差し込みになっている。胴の上と下側に赤と紫の染料でロクロ線が引かれ、胴の中心よりやや下に鮮やかな色の牡丹が一輪描かれている。顔は眉が太く上瞼と下瞼が外側に膨れた紡錘型の目に薄いピンクの隈が塗られ、小さめの獅子鼻と口の形が品良く引き締まって見える。

荒川洋一95-1

 荒川さんの年譜によると昭和35年に会津若松の神山木工所で木地挽きを習得し、温泉や観光地の土産用に木地を挽いていた。その後、伝統こけしの道を志し、中ノ沢の岩本芳蔵の弟子になったのは昭和45年のことである。善吉型のタコ坊主を作る許しを得るまでの2年間は芳蔵型のこけし作りに専念していたという。

荒川洋一95

 以前、荒川さんの工房にお邪魔した時に私が手にした芳蔵型のこけしを見て「芳蔵型だけ毎日、毎日作っていたなぁー。」、と岩本芳蔵に入門した当時を振り返り、懐かしそうに想い出を話して下さった。

こけしの話342

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荒川洋一94 磯谷直行型

荒川洋一94 磯谷直行型

 4月に入ったのに今日も気温は上がらない。厚手のコートを着ている人を見かける。友人から鹿島セントラルホテルの桜が咲き始めたとメールが届いた。澄んだ青空のもと、1分咲ぐらいだろうか、疎らに咲いている姿がいじらしい。

荒川洋一94-3

 荒川さんの略年譜の中に「こけし(タコ坊主)の創始者、岩本善吉、そして岩本芳藏に惹かれ四十有余年」とある。昭和45年に岩本芳藏に師事し芳藏型に専念し、昭和47年に善吉型の復元を許されてからは、数々の善吉の古作と向き合い成功をおさめている。また喜多方の小椋千代五郎、甚九郎や後継者の無い須賀川の松木朝臣などのこけしの復元も果たしている。

荒川洋一94-1

 今日、紹介するこけしは荒川洋一さんの磯谷直行型で大きさは8寸2分、背中には「愛玩鼓楽 発刊記念 三百の内 二六三」と記されている。荒川さんの略年譜では、昭和60年の項に「愛玩鼓楽 発刊記念に際し磯谷直行遠刈田風復元」とあり、鈴木鼓堂氏の所蔵品を原に復元している。

荒川洋一94

 昨年、荒川さんのご自宅にお伺した時に、私が所有している「岩本芳藏」の磯谷直行型の写真を持参し、芳藏さんの直行型に付いて知っていることをお聞きしたが、見たことも作っていたことも記憶にないとのことであった。磯谷直行型のこけしに関しては師芳藏と洋一さんの接点はなかったということが結論になる。

荒川洋一94-2

 以前、こけしの話296(2016年8月7日)で紹介した芳藏さんの直行型と荒川さんの直行型を2つ並べてみると、原の違いによるものであると想像するが、頭の大きさや手絡の向き、胴模様の描き方など大きく異なっていることがわかる。

 荒川さんは復元した当時、40代であり筆に勢いがある。写真などで観る直行型は角ばった大きな頭で厳つく感じていたが、手に取ってじっくり眺めてゆくうちに、キリッとした目や引き締まった口、品の良い健康的で溌剌としたこけしであるという印象に変わってきた。

こけしの話327

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荒川洋一93 善吉型

荒川洋一93 善吉らしい善吉

 昨日(1月14日)は私の実家に年始の挨拶に行った。母が入院しているために、以前のように長居することは少なくなった。今回も朝、早めに行き仏壇に線香をあげ、兄夫婦に年始の挨拶をして、昼前には実家を後にした。お昼は何処かでランチをと、実家から車で30分位走り、焼き物の里、笠間市を訪ねた。

荒川洋一93-2

 笠間では最初にお稲荷さんに行きお参りをした。本殿の前では柱に繭玉(まゆだま)の飾り付けをしていた。私の子供の頃には餅花(モチバナ)と呼び、何処の家でも今頃の季節に父親が餅を搗き、家族で餅を丸め枝に刺し、土間に飾っていたことを思い出す。子供の頃の記憶が蘇り、懐かしくなり眺めていると、飾り付けをしていた若い巫女さんが明日(15日)からはじまる小正月の準備をしていると説明いて下さった。私の妻は小さく丸めた紅白の餅を何個か木の枝に飾らせて頂いていた。
 
 繭玉は紅白の餅をヤナギやミズキの枝に付けお供えをし、五穀豊穣や養蚕業の豊産をお祈りする風習であり、台所や小縁などに飾っていた。

荒川洋一93-3

 昼食は笠間稲荷の隣に店を構えている「むぎとろ量深(りょうしん)」に入った。この店はメニューの種類は少ないが料理の素材にこだわりを持っている。私は三河産の鰻の蒲焼と地元の卵を使った厚焼き玉子が乗っている「うな玉」を、妻は三浦半島から入ったという天然まぐろと地元の山芋を使った麦とろ御膳を注文した。

荒川洋一93-4

 量深の座敷に通され、雪見彰子から差し込む陽の光が伸びはじめた冬の庭を眺めながら、ゆっくりとランチの箸を動かした。

 前にもブログで紹介したかも知れないが、武蔵野の鰻の老舗「田川」が閉店する時、150年間守ってきた味が消えてしまうのを惜しみ、量深の今のご主人に託した。笠間の地で老舗「田川」の鰻の味を引き継いでいる。

荒川洋一93-1

 今日、紹介するこけしは荒川洋一さんのタコ坊主で大きさは8寸、胴底には最初の所有者の購入時期と思われる日付が鉛筆で「平成9年4月1日」と記されている。今から10年前、荒川さんの60代後半の作品で溌剌とした筆使いである。

荒川洋一93

 やや細めの胴には色鮮やかな染料でボタンの花を描き、顔は赤い隈取の中にギョロリッとした大きな目が2つ、何かを凝視している。いかにもタコ坊主らしいタコ坊主の姿であり、荒川さんが作る中ノ沢のこけしである。

こけしの話317

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